INOUEKABUKI SHOCHIKU-MIX『蛮幽鬼』@新橋演舞場

ひっさびさに私が新感線に期待するカタルシスを味わえた嬉しい作品でした。
面白くないわけじゃないですけど・・・な五右衛門ロック
はぁぁぁ・・・?だった蜉蝣峠を経てやっと! やっとですよ!!(感涙)
どうでもいいですが、開演前にいのうえさんが普通にロビーに立っててえらいびっくりしました。
以下ネタバレです。


上川さんは復讐の鬼のはずが、やっぱり根が善良なのよね・・・という人。
昔の女と再会しただけでぐらんぐらんに動揺しまくり。
サジこそが正しく苛烈な復讐者だったので対比の結果、
土門はなんか復讐者としては霞んでしまった感じがします。
たまに噛んでる・・・?と思うようなところもあったのですが、勢いで押し切られた!

堺雅人さんは常時ニコニコ笑顔なナチュラルボーン殺人鬼。
これだけで満足できるくらいの破壊力ありました。嫌いな人いないって!
暗殺集団の中でも異能の天才という設定なので、殺陣の動きは最小限。
ってことを加味してもあまり強そうには見えなかったのはご愛嬌かな。
殺陣の最中口開けっ放しなことがあって必死な頑張りが伝わってきました。
いつだって微笑んでいるのに残忍さの底は見えないという不気味な狂言回しの役を、
きっちり果たしてお釣りが来るぐらいの出来だったと思います。
また新感線に出てほしいなー。

早乙女太一君の殺陣の美しさは異常。もう本当1人だけモノが違った。
すべての動きが流れるように美しくて、殺陣の間中決めポーズレベルのクオリティでした。
今回いつもより年配の女性が多かったんですが、彼が連れてきたお客さんだったんだろうなぁ。
彼の登場とシンクロしてみんなソワソワしてて、可愛かったです(笑)。
名前も顔も知ってたけどピンとこなかったんですが、これは人気あるのわかるわ。
話しの展開上そういうわけにはいかないんですけど、殺陣見てる分には最強でした。
早乙女君>>>(超えられない壁)>>>上川さん>>>堺さん、って感じ。

稲森さんはかなり重要な役どころだと思うんですけど、ほとんど掘り下げれなかったんですよね。
何考えてるかわからなかったので共感はできなかったんですが。
民に良かれと思ってはいても何が出来るわけでもない、
善良なんだけど地に足がついてない感じが貴族のお姫様っぽかったと言えなくもないかも。

誰にも共感できない間に話しがずんずん進んで、終わってしまった感じはありつつ。
もうちょい人間関係を垣間見れるエピソードがあれば・・・
留学前の土門と美古都(とその兄)のエピソード、これは絶対必要だったと思う。
これが輝かしければ輝かしいほど、土門の復讐の説得力は増すわけだし。
暗殺一族の技術伝授中の、サジと土門の友情みたいなものとか!
美古都に助けられた刀衣が心を開き忠誠を誓うまでとか!
ペナンを利用する土門とそれでも土門を愛するペナンとの昼メロとか!
ちょっと考えただけでもこれだけのエピソードを思いつくのですが、
全部拾うのは無理ってもんだし上手いことまとめられてたと思います。

冒頭に何気なく聞き流していた美古都の兄の未来への希望に溢れたあの台詞。
あの台詞こそがすべての発端を暗示していたのだと、
最後の最後にわかった時の衝撃といったらなかった。
すごく面白かったです。満足満足。