松井雪子 まよいもん
不思議なものと近しく生きている母娘の話。
母親のほうはその不思議なものをアイデンティティの拠り所にしていて、
そのことが多少なりとも娘を不幸にしている気がするんだけど、
反発したり離婚した父親に対する態度に傷ついたりしながらも、
娘は母親にしっかりと寄り添っている。
この危うい2人は案の定ゆらゆらとマイナス方向に傾いていくんだけれども、
ギリギリのところで踏みとどまる。
力があれば母親を助けられるのにと望んでいた娘は、
最後に力なんかいらないと言う。
別に2人の前にある問題は何一つ解決していないのだけれど、
不思議と先行きを明るく感じる終わり方だった。